マンションの補助金制度は、資金助成にメリットがありますが、現状あまり知られていません。長期修繕で積立金不足に悩んでいる多くの管理組合にとって、補助金制度を上手に活用することで、大きな金額が補助されるケースもあるようです。西葛西ハイツの排水給水管工事で補助金制度の申請を行った管理組合顧問の渡辺さんと補助事業施工会社の太平エンジニアリング泉谷さんに、国交省の「マンションストック長寿命化等モデル事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」についてセミナーでお話をいただきました。
マンションストック長寿命化等モデル事業とは
今後急増する高経年マンションについて、適切な維持管理を推進し、改修や建替えによるマンシ ョンの円滑な再生を図る取り組みを促進するため、老朽化マンションの再生検討から長寿命化に 資する改修や建替え等の先導的な再生プロジェクトを公募し、国が事業の実施に要する費用の一 部を補助するものです。
事業内容
1計画支援型(事業前の立ち上げ準備段階への支援タイプ)
2工事支援型(長寿命化等の改修工事や建て替え工事の実施段階への支援タイプ)
要件
共通要件
・学識経験者で構成する評価委員会による評価を踏まえた上で、採択される
・先導的な取り組みとして情報公開や国への情報提供への協力を行うもの
・令和3年度中に事業に着手するもの
各事業の要件
計画支援型
減価償却資産の耐用年数の半分を過ぎているこ と、区分所有者が 10 名以上のマンションであることなどが条件
工事支援型(改修工事)
計画期間を25年以上に設定した長期修繕計画があること
積立金の額が長期修繕計画に設定されている金額と概ね一致していること
対象事業者
計画支援型:マンション再生コンサルタント・設計事務所・管理会社
工事支援型:施工業者・買取再販業者
提案種別
単独提案やグループ提案
補助対象費用
計画支援型:調査経費などで500万円
工事支援型:費用の合計の1/3 以内
事業の手続き
提案事業の評価と補助金の交付申請等の2段書いた続きが必要
こちらのホームページで検索できます
マンションストック長寿命化モデル事業評価室事務局
https://www.kenken.go.jp/mansion_s/index
*令和3年度の提出期間は、4月1日ー8月31日です。
長寿命化に資する工事のうち、先進性を有するものに関する費用の 3 分の 1 以内の額を補助。 内容については専門家で構成する評価委員会による評価をふまえた上で採択されるものとなる。 ハードルが高くなかなか条件が厳しい内容ですが、補助金額が大きいので可能性があればチャレンジしてみる価値がありそうです。
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは
事業概要
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行うもの。
要件
リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成する
リフォーム工事後に次の性能基準を満たすこと
・必須項目:劣化対策、耐震性(身体新基準適合等)、省エネルギー対策の基準
・任意項目:維持管理・更新の容易性、高齢者対策(共同住宅)
・性能基準のいずれかで、性能向上に資するリフォーム工事・3世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防災性・レリジェンス性の向上改修工事のうち一つ以上行うこと。
申請者・補助金について
申請者は工事を行う事業者となります。
補助金は、リフォーム工事費等の合計の 3 分の 1、ただしリフォーム後の住宅性能により 3 つの 限度額が設定されている。100 万/戸~250 万円/戸。 江戸川区内で実施した実績としては排水設備改修工事(排水竪管および通期管の更新、排水横引 管の更新など)があり、
SRC造 築40年 100戸以上 請負金額1億698万6千円(税込)の工事に対して 補助金の額は 2985 万円でした。
検討してみる価値はありそうですね
いずれの補助金についても、かなり時間的な制約があり、申請の煩雑さと合わせてハードルが高い 点がありますが、検討してみる価値はありそう。興味があれば、今後の制度利用を太平エンジニアリングさんはじめ、この制度に登録のある事業者に相談してみるのはいかがでしょう。
管理組合法人西葛西ハイツ
顧問渡邉一さん(左)
太平エンジニアリング
リフォーム事業部
泉谷賢司さん(右)
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